こんにちは! 水城優です。
前回お伝えした【独創術⓵】自分にあったファンタジー小説の見つけ方【初心者向き】の姉妹編の第2弾です。今回はおもに小説の読み方について焦点を当てた構成となっております。
本記事のテーマ
ファンタジー小説を読みやすくするための6つの工夫とは・・・
記事の信頼性
この記事を書いている水城優は作家としてはまだまだ半人前ではありますが、『ファンタジー小説愛』だけは他の作家さん同様あつきものを胸に秘めています。
現在、刊行・未発表を合せると、15作品を数えます。(内、シリーズもの13作品、続編2作品)
読者さんへのメッセージ
本記事では、「ファンタジー作品をあまり時間をかけず、(物語の内容を)整理しながら、読めるようになりたい。だけど、どういうふうに読みすすめたらよいのかわからない」という方に向けて情報を発信しています。
この記事を読んでいただければ、「ファンタジー作品を読みやすくするための6つの工夫とその実践方法」について具体的にイメージできるようになると思います。
「若者の活字離れ」が取り沙汰された昨今、原因のひとつに挙げられるものとして『時間』と『内容の理解』というものがありました。どんなにおもしろい作品であっても、ファンタジー小説を読破するにはそれ相当の時間と内容の理解がある程度前提となってくるのは事実です。
人気作を連発する作家さんの文体は、読者の皆様が迷わず、また飽きないよう随所随所に工夫が張りめぐされています。まあ一概に言えないのですが、文体の良し悪しが、作品の良し悪しにつながるような気がいたします。(あくまでも水城の見解)
そこで水城は読み方の工夫ができている作品も「(ファンタジー小説と)相思相愛」になるための、1つの基準になるのではないかと考えてみたのです。
それでは、いよいよ本編スタートです。
➀ 短文体は「時間」と「理解」にやさしい?
結論:サクッ、サクッと読める「短文体」のほうが、「時間の短縮」と「理解の定着」にはいい。
★小説を読みづらくしている第一が長文の羅列です。会話を除く、地の文が数行単位にわたり長々と書かれていると、読者はそれだけで視覚的にもういっぱいいっぱいになってしまいます。
★特に内容にムラがあったり、一本調子であったりすると、なおさら読む気力が減退しそれで「今日は止めようか」という気にもなってしまいます。
★小説も音楽と同様にリズムが重要。小説もそれを読んでくれる皆様に単調さや飽きをもたらしてしまってはせっかくの作品がその時点で台無しになってしまいます。
➁ 五要素よる組み立てを常に意識してみる
結論:五要素の組み立てを意識することは内容の理解の一助となる
☆小説は、以下に示す異質の五要素の組み立てによって織りなされる。
五要素の異質性は単なる異質ではなく、それぞれが暗示性を持ちながら「心情」の情緒性を昂揚させる何らかの有機的な働きを秘めています。
小説のおける「心情」の表現には、叙情的な形をとったり、内的独白の形をとったり、心理の分析的な形をとったり、意識の流れとなって表現されてる場合が多いのです。
※これらの小説文の五要素を組み立てる秩序の法則は、何もありませんが、一般文章のように認識の対象としてではなく、異質の五要素の絡み合いが享受者の情念に訴える内的リズムを醸成して、情緒性の昂揚に方向性が向けらているのです。
③ 用語の説明は具体的である方がいい
結論:用語の詳解は読者の躓きを未然に防止する
★たとえば社内恋愛ものの小説を書いたとしても、その職場がIT関連の商社であった場合、専門的用語の多用により、恋愛ものであるにもかかわらず、難しい用語のほうに頭が行ってしまい、内容が定着しないこともあるでしょう。
★用語は単に難解ものとは限りません。SFファンタジーで主人公らが乗車する未来カー、ホヴァーモービルなるものが登場するとしましょう。作者並びにSFに造詣の深い読者はそのものがどういった乗り物かすぐにイメージがわきますが、SFが苦手な読者にはどういう乗り物だが分からず、その時点で気になってしまって、つまずいてしまうということもあるのです。
★また主人公が背負うリュックサックもその一例であるといえます。漫画や映像ではリュックの形状や大きさは一目瞭然であるが、小説ではそのあたりの説明が不十分だと、あとあとそのリュックサックが大事な機能を果たす場合、単なるご都合主義のアイテムになってしまう恐れが出てしまいます。
◎用語は難解なものから日常的なものまで無数にあげられますが、それが小説の中で端折ることができない場合、ある程度の補足説明が長くなってもやむを得ない場合があるのです。
④ 修辞技巧による難解語句の解消
結論:読者のつまずきと途中退場は難解表現の放置が原因。
★難解表現を平易な言葉で言い換えるのは、かなりの語彙力が必要です。しかも読者の皆様が理解できる言葉でなければなりません。この二つのハードルを飛び越える方法が修辞技巧です。
★修辞技巧を今風に言えば、レトリックと言い換えることができます。これはとりもなおさず、ことばを飾ったり、わかりやすく伝えるための技巧で、皆様の多くが小、中学で一度は学んだことがあるのではないでしょうか。
★修辞技巧の代表格は、比喩です。~のようなで表す直喩と、あえてそれを使わずたとえる隠喩があります。小説の中で多く用いられる場面が、人の描写です。
たとえば、直喩を使って、ヒマワリのようなステキな笑顔をする貴婦人などと使えば、おおらかで抱擁力のある女性を連想させます。逆に隠喩を使って、ご主人様は餓鬼そのものだと使えば、病状に伏せ飢えたようにやせ衰えた老人を連想させます。
◎修辞技巧はここぞという時に用いることによって、人物描写に限らず、すべての場面で小説の世界を見たようにイメージする手がかりとなるものです。
⑤ あまり地の文に偏ることなかれ
★これは①~④とは逆に、作者が作品のイメージをわかりやすく伝えようとして空回り、つまり、地の文に逃げてしまうパターンです。
★状況説明に偏り過ぎてしまうと、登場人物たちの話芸をことごとく潰してしまうことになってしまう結果になります。
例えば、主人公たちがある悪党一味におわれている場面を想像してみてください。作家はここぞとばかり、視覚・聴覚・触覚などその臨場感を出すため事細かく描写します。
確かに追いつ追われつの展開はさぞ手に汗握ることでしょう。ですが、その分主人公たちがめっきり無口となってしまいます。こうなるとリアルな表現を駆使したところで文字の羅列である小説では主人公たちの心の叫びを聞き取ることはできません。
◎会話文・地の文とも小説に欠かすことができない展開部分の核です。どちらがより大事ということの線引きはできませんが、作家としては主人公の心の叫びを去ってはいけないのです。
⑥ コメディーリリーフは天下の宝刀
★緊張を要する場面や悲しみの状況など、小説を盛り上げるのに大事な要素の1つですが、この緊張が断続的に続くと、読者は少なからずストレスを感じるようになり、それが長く続くと読む速度が次第に遅くなり、やがてページを閉じてしまう結果に・・・。かくいう水城もそういった経験の持ち主の一人でした。
★コメディーリリーフの効果は一言で言うならば緊張緩和剤のようなもので、どんなに状況が緊迫していても、悲観的な状況が待っていても、主人公にも読者にも希望を持ってほしいという願いがそのなかに込められているものなのです。
★これは逆もしかりで、何をやってもついてる主人公の場合、お話が常にラッキーマンのような展開では、盛り上がらない。こういうときには、トラジェディーリリーフを使うことによって、程度の度合いこそありますが、主人公を悲劇の水面にそっと沈めてみるという効果として用いることができるのです。
【総 括】
この記事では、ファンタジー小説を読むための6つの工夫について解説しました。
ご興味のある方は一度、この記事を参考にしながらトライしてみてはいかがでしょうか。
次回は姉妹編最終章、【独創術④】ファンタジー小説を肌で感じる3つの心の体操によって、自分にあったファンタジー小説の選び方をお伝えいたします。
それでは今回は以上です。
自分の好みにあったファンタジー小説の選び方にに関する記事一覧です。
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